2026年1月 Maison&Objet 展示会レポート
― 過去と未来が交差する、世界最高峰デザイン展示会の本当の魅力
2026年1月15日から5日間開催された Maison&Objet(メゾン・エ・オブジェ) が、今年も盛況のうちに幕を閉じました。
いくつか気になる参加ブランドの出展があったことに加え、今年の全体的な傾向を実際に確認するため、今回の展示会に足を運びました。
パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場に集まった世界中のブランド、バイヤー、デザイナーたちの熱気は、まさに「今のデザイン業界の現在地」を体感できるものでした。
今年の展示会を振り返ると、改めてこの展示会がなぜ世界中のプロフェッショナルにとって欠かせない存在なのか、その理由がはっきりと見えてきます。

2026年1月展の全体的な傾向 - 「伝統」と「未来」が自然につながるデザインへ
今回のMaison&Objet全体を通して強く感じられたのは、過去の技術や文化を、未来の暮らしへどうつなげるかという問いでした。
奇抜さや派手さよりも、
- 長く使えること
- 背景に物語があること
- 環境や社会とどう共存するか
といった、成熟した価値観が会場全体を包んでいた印象です。
日本ブースの存在感
伝統技術 × エコロジー × 現代的感性
日本企業のブースは、今年も非常に評価が高いものでした。
特に目立っていたのは、伝統技術を現代のライフスタイルに落とし込んだ提案と、エコロジーやサステナビリティを意識したものづくりです。
漆、木工、織物、和紙といった素材や技法をベースにしながらも、
「いかにも和風」ではなく、
国や文化を超えて受け入れられる洗練されたデザインに昇華されている点が印象的でした。
欧州のバイヤーやデザイン・アート・建築等の関係者が、
「背景にあるストーリー」
「職人の技術」
に熱心に耳を傾けている姿は、日本ブランドの強みを改めて実感させるものでした。

海外出展ブランドの傾向
サステナブルとクラフトの再評価
海外勢に目を向けると、今年は特に次のような傾向が顕著でした。
● サステナブル素材の“当たり前化”
リサイクル素材、アップサイクル、自然由来素材は、もはや「特別な売り」ではなく、前提条件として扱われていました。環境配慮はコンセプトではなく、デザインの土台になっている印象です。
● 手仕事・クラフトへの回帰
大量生産では出せない温もりや個性を重視する流れが強まり、陶器、ガラス、テキスタイルなど、人の手を感じさせるプロダクトが多く見られました。
● フォルムは柔らかく、有機的に
直線的でシャープなデザインよりも、丸みのある有機的なフォルム、自然を思わせる色合いが主流となり、「心地よさ」や「感情に訴えるデザイン」が重視されていたのも印象的です。

出展する意義
世界市場に向けて“自分たちの立ち位置”を知る場
Maison&Objetへの出展は、単なる販促の場ではありません。
世界の中で、自社ブランドがどう見られているのかを知る場でもあります。
来場者の反応、質問の内容、商談の温度感は、今後の価格設定やデザイン戦略、海外展開を考える上で非常に貴重なヒントになります。
特に日本企業にとっては、「日本らしさをどう伝えるか」、「どこまでローカライズすべきか」を実地で確認できる、これ以上ない機会と言えるでしょう。
Visiter(来場者)として参加する意義
“見るだけ”で終わらせないために
Maison&Objetは、Visiterとして参加するだけでも非常に多くの学びがあります。
ただし、この展示会は 7つのホールに分かれた非常に広大な会場で開催されるため、事前準備の有無で満足度が大きく変わるのも事実です。
■ Visiter参加のコツ①
事前に訪問ブースをしっかりピックアップする
参加日数が限られている場合は特に、
- 見たいブランド
- 関心のある分野
- 商談したい相手
を事前にリストアップし、回る順番まで考えておくことを強くおすすめします。
「現地で考えよう」と思っていると、
広さと情報量に圧倒され、気づけば時間切れ…ということも少なくありません。
■ Visiter参加のコツ②
“全部見よう”としない
Maison&Objetは、すべてを見る必要はありません。
むしろ、目的を絞り、深く見ることが大切です。
気になるブースではしっかり話を聞き、名刺交換をし、
後日のフォローにつなげる意識を持つことで、
視察は「情報収集」から「ビジネスの第一歩」へと変わります。
まとめ
Maison&Objetは「準備した人ほど成果を得られる展示会」
2026年1月のMaison&Objetは、
伝統と革新、サステナビリティと美意識が高い次元で融合した、非常に完成度の高い展示会でした。
- 出展者にとっては、世界市場への発信と検証の場
- Visiterにとっては、未来のビジネスとデザインを読み解く場
そして何より、
しっかり準備して臨んだ人ほど、大きな成果を持ち帰れる展示会であることを、改めて感じさせる内容だったと言えるでしょう。
